ろ〜りぃ&樹里とゆかいな仲間たち

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理解できないジョーク
山口良忠と云う人がいた。
判事――裁判官だった。
終戦直後のことだった。
食糧難のその時代、山口氏は、
――人を裁く判事の身で、どうして闇米を口にすることができようか。
と、闇米を口にすることを拒否し、妻にも闇米を買うことを固く禁じ、配給の食糧は子どもたちに与え、自分と妻は汁だけの粥をすすって暮らした。
見かねた親戚や友人たちが、食糧を送り、食事に招待したりもしたが、山口氏は、それすらも固辞なされた
そうして、栄養失調で亡くなられた。

――バナナって、どんな味がするんだろう。
――死ぬまでに、いっぺんでいいから、バナナを食べてみたい。
そう思った、と、そんな回想を、ある一定の年齢以上の人は、かならず一度は、聞かされたことがあるだろう。
余命いくばくもない、と、悟った病人が、最後の願いとして、
――バナナを食べたい。
と、願ったことは、当時の日本の各地で、実際に、あったことである。

学生時分、下宿の近所の定食屋が評判だった。
店は汚いが、安くて量が多かった。
自分も始終、その店のお世話になった。
あるとき、なんでこのお仕事を選ばれたのか、ご亭主にお訊きしたことがあった。
――なに、きみたち、若い人たちには、せめて、腹一杯、飯を食べてもらいたくてな。


バナナは説明する必要はないだろうが、闇米、配給、栄養失調、これらの単語は、いまや辞書のなかの言葉となった。

給食が冷たくてかわいそうだから、と、温かいご飯を食べさせる。
お菜も、二、三種類のなかから、好きなものを選ばせる。

それでいて、
――戦争の悲惨さを、次代に伝えていかなければならない。
ですか?

ごめんなさい。その手のジョークは、私には解りません。
| Mac | 気まぐれなコラム | 10:38 | - | - |


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