2014.03.30 Sunday
『悪の花園』と云う映画のなかに……
『悪の花園』と云う映画のなかに、こんなセリフがあった。
「こんなことを言った奴がいる。美しい女の言うことはみんな嘘だが、唄う唄はみんな本当だ」 「誰が言った」 「俺さ」 女は、嘘を、嘘と自覚せずして、嘘をつく。 男は、誠心誠意、嘘をつく。 高熱でへばっているときでも、愛する人を心配させたくないがために、 「うん、全然大丈夫。元気でやってるよ。そっちはどう?」 などと嘘をつくのが、男である。 「ゴメン。あたし、男の人には、だれにも、電話番号とか、メアドとか、教えへんねん」 と、云いながら、 「え? だってあの人は学校の先生やし」 「あの人はおんなじサークルの仲間やし」 「あの人はバイトで世話になってるし」 ……。 “だれにも”ちゃうやん! と、思う。 しかしそんな女の嘘を、嘘と知りつつ信じるのが、あるいは、信じるフリをし続けるのが、男の嘘である。 |