2015.03.31 Tuesday
修学旅行
平成8年12月、ペルーの日本人大使公邸がテロリストたちによって占拠された。
日本にとっては、阪神大震災以来の、危機管理能力が問われる大事件であった。 この事件は、当時のペルー大統領フジモリ氏の決断による強行突入によって、幕を降ろした。 事件後、当時の総理大臣、橋本龍太郎氏は、ペルー人で人質となっていたギュスティ最高裁判事と兵士二人の家族を日本に招待した。 その家族たち――とりわけ子どもたち――は、東京ディズニーランドや江戸博覧会などを見物し、大いに愉しんだ。 橋本首相も、満足げであった。 一日、橋本首相と面会したギュスティ判事の娘さんは云った。 「ディズニーランドも江戸博覧会も愉しかったですが、せっかく日本に来たのだから、ヒロシマに行きたい。 わたしたちは“被爆”と云うものを知りません。この機会にぜひ、“被爆”と云うものの実態を目にしておきたいのです。 ぜひ、ヒロシマに行かせてください」 いま日本の中学生、高校生たちが修学旅行に行く行先は、どこだろうか? 東京ディズニーランド? ディズニー・シー? USJ? それとも、海外だろうか? ひめゆりの塔、知覧航空基地、広島や長崎の原爆資料館……。 これらの地が、これからの日本を背負って立つべき、若き人たちの修学旅行先に選ばれないとは、日本はなんと、情けない国に成り果ててしまったのだろうか……。 |