2015.07.25 Saturday
デートで……
デートで彼女と――この文を読んでくれているのが女性なら、彼氏と――映画を観に行ったとする。
開演を告げる音が鳴り、場内が暗くなり、目の前の巨大な幕が開いて、スクリーンが姿を現す。 それまでべちゃくちゃしゃべっていた観客が、しだいに静かになる。 その静寂のなか、光を放つスクリーンに、このような文字が映し出される。 「爆発物が仕かけられている怖れがありますので、周囲の座席の上や下に怪しいものがないかお確かめ下さい」 のんびりと映画を観、彼女――あるいは彼氏――と、しあわせな時間を満喫できますかね。 かつて日本が占領していた上海では、映画の上映前に、このようなテロップが流されていたのですよ。 現在でも、電車やバスに乗ると、似たようなアナウンスが流されます。 たいがいの人は、スズメやカラスの鳴き声ほどにも注意を払わないでしょう。 映画館に出かけた当時の上海の人たちも、同様だったかもしれません。 新幹線の車中で焼身自殺した人がいました。 もしあれが自殺テロだったら、それが、都会の公共交通機関――毎日、あなたやわたしが通勤通学で利用している――で行われたら……。 そんなの、絵空事、映画や小説のなかだけのこと、と、思いますか。 そう思うのは、日本が平和だからです。戦争やテロと云ったものを、身近に感じられないからです。 実際世界の各地、特に中近東では、頻繁に発生しています。 集団的自衛権、安保法制整備、苦難に陥った友人の危機を救う……。 なるほど、カッコのいいお題目です。 しかしカッコつけるには、つけるだけの覚悟と云うものが必要です。 その覚悟が、はたしてあるでしょうかね。 |