2015.03.01 Sunday
「野分」を……
「野分」を読み終えた。
このころの漱石は、まだまだ思想が未成熟で、文章も生硬で、非常に読みにくい。 その読み難いところを以て、漱石の漢文学における素養の深さ、などと云っている批評家がいるのだから、いかに批評家のレベルが低劣かが解る。 漱石も『虞美人草』までは、インテリ連中に受けがよく、したがって、通常な人間、後に漱石が述べた言葉を藉りれば、「文壇の裏通りも露路も覗いた経験はあるまい」と、思われる、「教育あるかつ尋常なる士人」たちには、受けが悪い。 しかし、漱石の本領は、その文豪たる所以は、『虞美人草』以後、『三四郎』からの諸作によって形成される。 で、続いて、『虞美人草』を読もうと思ったのだが、ここらでちょっと小休止して、『ハムレット』を読むことにする。 |