2015.04.05 Sunday
『虞美人草』随感
『虞美人草』を読了した。
このあたりから漱石に対する評価の分岐が明瞭になり、ナカナカ面白くなってくる。 それはまた後日述べる(?)として、表面上、面白いのは、登場人物の名前である。 甲野欽吾、小野清三、井上小夜子はよかろう。 小夜子の父、井上孤堂も、号と思えば、違和感はない。 しかし、甲野欽吾の親類にして友人である一(はじめ)と、その妹の糸子の名字、「宗近」と云うのは、どうだろう? 「宗近」などと云う名字は、この作品以外で、聞いたことはない。 また、甲野の義理の妹――父の後妻の子――の名前が、「藤尾」である。 名字ならともかく、名前で「藤尾」とは……。 どうにもしっくりこない感覚である。 |