2016.10.07 Friday
死刑廃止論の根拠
死刑廃止の件について、世上、様々な意見が闘わされているようだが、自分としては、どちらに与する、と、云うこともない。
なるほど、ごもっとも、と、廃止論にも、存続論にも、いちいちうなづいているのだから、定見のないこと、おびただしい。 ただ自分としては、各界著名の諸氏の、舌端火を噴かんばかりの死刑廃止論よりも、ズシン、と、胸にこたえた、死刑廃止論の根拠がある。 それは――『裸の銃を持つ男』と云う、アメリカのコメディ映画に出てくる場面である。 この映画のラスト近く、主人公のドレビン警部補は、情熱ほとばしるあまりの行き過ぎ捜査――これが、“ダーティ・ハリー”こと、ハリー・キャラハン刑事なら、シリアスなのだが、あいにくこの映画の主人公、フランク・ドレビン警部補となると、ドタバタのコメディとなる――がたたって、引責辞任のやむなきにいたる。 上司や同僚たちが“心配そうに”見守るなか、ドレビン警部補は、次々と、自分のデスクを整理していく。 ふとひとつの抽斗を開けて、一葉の写真を取り出すと、その写真を感慨深そうにながめ――、 「こいつらも不幸なヤツだよ」フン、と、鼻を鳴らすと「この俺に捕まったばっかりに、死刑になった……。二日後に、真犯人が捕まった」 |