2014.03.30 Sunday
いくら高級な食材を仕入れても……
世界の各地から最高級の食材を仕入れても、それだけでは、腕のいい料理人とは云えない。
腕のいい料理人と云われるためには、美味しい料理を作ることができなければならない。それも、「たまに」ではなく、「つねに」作り続けられなくてはならない。 さらに云えば、高級な食材を使って作った料理が美味しいのは当たり前であり、真の料理人たるもの、一般の家庭で手に入るようなありふれた食材を使って、なおかつ、一般の家庭では口にすることができないような、美味しい料理を作りあげなければならない、と、云えるだろう。 いくら知識を蓄え、該博となっても、それだけではなんの意味もない。 ヘーゲルはそんな人たちを称して、 「阿呆の画廊」 と、呼んだ。 要は、その知識を、「いかに用いるか」である。 考えることである。 知識は食材にすぎない。それを素材として用い、考えること――料理法、包丁捌きこそが、大事である。 むかし、親爺に云われた。 「『蛸』のことを、“Octopus”と云うのは、これは知識や。 『蛸』のことを、“Fish of one head and eihgt legs”云うのは、知恵や。 知識より、知恵のほうが大事やで」 |