2015.08.29 Saturday
三木武吉1
昔は日本にも面白い政治家がいて、色々な逸話を残している──
現在では知る人も少ないが、三木武吉と云う政治家がいた。筆者の大好きな政治家である。 有名な話で、吉田内閣時の分裂選挙、所謂「抜き打ち解散」による選挙で、彼は対立候補から、次のような個人攻撃を受けた。 「名前は云わないがある有力候補の如きは、妾を四人も持っている。かかる人物が、国政に関与する資格があるだろうか?」と。 立会演説会だったので、三木武吉もその場にいた。 次に登壇した三木は少しも慌てず、 「わたしの前に立ったある無力候補が、『ある有力候補』と申したのは、不肖この三木武吉であります。なるべくなら皆さんの貴重なる一票は、先の無力候補よりは、有力候補たるこの三木武吉に、と、わたしは考えます。 なおここで、先の無力候補の数字的間違いを訂正しておきます。先の無力候補は、わたしに四人の妾がある、と申されましたが、事実は五人であります。五を四と数え間違える如きは、小学校の一年生といえども恥とすべきであります。 ただしこの五人、今日ではみな老来廃馬とあいなり、役には立ちません。が、これを捨て去るが如き不人情は三木には出来ませんから、みな今日も養っております」 時代が時代だけに、いささか差別的な表現もあるが、この三木武吉と云う政治家の面白味は、分かっていただけたのではないかと思う。 |