2014.09.14 Sunday
ベランダで煙草を吸ってると……
ベランダで煙草を吸ってると、小さい女の子の泣き声と、母親と思しき女性の叱咤するような声が聞こえてきた。
ふと下に目をやると、団地内の舗道を、両手に買物袋を提げた若い女性が、後ろの女の子に声を荒げている。 女の子はまだ幼い。なにが気に入らないのか、路上に尻をついて、手足をバタバタさせて、しきりに泣きわめいている。母親の怒声にも、聞く耳をもたぬようである。 ――あぁ、こりゃ、お母さんも大変だ。 と、いささか同情しつつ成り行きを見守っていると、母親のとどめの一言がひびいた。 「早よ来ぃ。 みっともないで、いつまでもそない泣いて。 あの議員のおっさんみたいやで」 最後の一言が効いたのだろう、女の子は、必死で泣き声をこらえ、流れる涙を拭いながら、ゆっくり立ち上がると、おとなしく母親の後について歩き出した。 ――逆説のようだが、彼ほど子供の教育に貢献した政治家は、ここ最近、いないのではないだろうか。 |